2006/06/18 (Sun) フィガロ 昨日のこと

重い心と体を引きずって、稽古に出かけた。
昨夜のうちに、今日は別のピアニストにお願いしていたから、
サボろうと思えばそれで済んだんだけど、
心のどこかで行かなくちゃいけないという
半ば強迫観念のようなものがあって出かけたのだ。
稽古場にいることが、私の責任でもあると思ったし。

昨日のことと今日の稽古を見ながら思ったこと。
稽古場は戦場だということを忘れていたね。
作品は命を削って作っていくもんだということも。
最近、和気藹々モードに浸りきっていたから、
ついつい楽な方へ流れていってしまっていたんだなぁ。
真剣を持ってやっていることを忘れて、
何かの時にはバサッとやられる、という気が抜けていた。
決していい加減にはやってなかったつもりだけど、
自分に甘かったんだよな。
いいものを作ろう、という言葉だけの、
口先だけのものに。
形が出来たからそれでＯＫ、って。

その辺をマエストロは感じられたんだと思う。
お客に「よかったよ」って言ってもらえる舞台は
そう難しくなくできる。
形が出来ていて、大きな失敗がなければ、
大体はそれでＯＫなんだから。
日本人のお客は「悪かった」とはあまり言わないもの。
でも、「感動した」って言ってもらえるものをつくるのは
そう簡単にはできない。
でも、それを目指さないとダメなんだよね。

主婦兼業で音楽してると、ついつい考えが甘くなっちゃうんだな。
生きるか死ぬかで音楽してる環境の人だっている訳なんだし。
大いに反省。

マエストロ曰く
モーツァルトの代理として音楽するわけだから、
ちゃんと楽譜を読んで、理解して、
その上で音にしないとダメだ。
どうしてモーツァルトはそう書いてあるのか、考えろ。

私の頭で、考えてわかるものってあるのかしら。
でも、考えようとすることが大事なんだよね、きっと。



まだまだ立ち直れなくて、今はマエストロの前では
怖くてフィガロは弾けない。
マエストロが怖いんじゃなくて、自分の未熟さが怖いから。
でも、今回、気づかせてくれて、
帰り際「俺を困らせるようなことをするな」と肩を叩いてくださった
マエストロに改めて感謝と心からのお詫び。